作 やーすけ・梅太郎
ハードボイルドソーセージ小説 筑豊残侠伝【ちろりん村人間模様】 Ｍボチャン第２章“１”
| Ｍボチャンの第２章 【１】【２】【３】【４】【５】【目次】 |
最近，巷でブレイクしている謎の男Ｍ・ボ・チャンとは？ 「身体的特徴」その１、背が高い (しかし特殊な訓練によってコンパクトに見せる、シークレットヒザを使い、普段１５センチは小さく見せている） その2、本来、声は低く渋い （敵を油断させる為、訓練された甲高い声を隠し持っている） その3、いつも白いタウンベストを着ている (本当はダウンベストだが、敵を欺く為安っぽいタウン風に着こなしている） 世紀を超えて話題をさらうＭ・ボ・チャンとは、イカス男だ！！！ 再びＭボチャンにスポットがあたる！ つづく
Ｍボチャンは特殊な任務のために受けた訓練は完璧であった。だがその完璧な彼をしても、克服できない壁がある。日本語の漢字だ。訓読みしか訓練されていない彼は、複雑に変化する日本語の漢字に悩まされ、危うくその正体を暴かれそうになることも度々だった。最初に私が「この男、怪しい……」と感じたのは、「美味しんぼ」というマンガはスタートしたときだった。 日常をさり気なく暮らすことが、任務を遂行するための第１条件である。だが彼はミスを犯した。 誰しもが見逃す些細なミスであった。 しかし私の人物に対する洞察力、（いやこの場合あえて、間違いを見逃さない動態視力と言わせてもらう） をかいくぐることはできなかった。 つづく
Ｍボチャンは民衆の娯楽にもチェックを怠らない。その一つにマンガがあった。 ――「美味しんぼ」 センスを感じさせない題名に、Ｍボチャンのチェックの目は止まった。 彼の頭脳に埋め込まれたコンピューターシリコンチップに、ファジーつまり曖昧はない。シリコンチップに微弱の電流が飛び、答えを導き出した。 「金沢庄三郎の広辞林によると、うまいは旨い、美味い、甘いの３種類がある。したがって導き出される答えは《うましんぼ》」 さわやかな表情を作ったＭボチャンは、敵を油断させる甲高い声で「うましんぼちゅうのが始まったねえ」 間違いではない！ 間違いではないが、おかしくないか〜？ Ｍボチャン。 つづく